COLUMN

肉食の危険性を説法したがる「ゆるふわヴィーガン」達へ

 

先日アメリカ在住の友人と電話で話していて、ヴィーガンに転身した彼女の知人の話題になった。

友人曰く、数ヶ月前に菜食主義に目覚めた彼女の知人は肉食の危険性や身体への影響をひたすら説いてくるのだが、デトックスやら何やら御託を並べる彼女の顔は吹き出物だらけで何も説得性がなかったと。

アメリカではここ数年ヴィーガンブームが旋風していて、その市場規模は年々拡大中で5年後の2022年には1兆円を突破することが予測されている。健康的または倫理的な理由から菜食主義に転身するセレブも多く、その影響は大都市を西海岸を中心に一般人にも及んでいる。

先に断っておくが宗教的な理由で菜食主義を実践している人たちは尊重しているし、彼らを批判するつもりは毛頭ない。私が違和感を覚えるのはメディアの奴隷の如く浅〜〜いヴィーガニズムを振りかざすヴィーガン・ルーキー連中のことだ。当ブログではそんなルーキー達を悪意8割・善意2割くらいで「ゆるふわヴィーガン」と呼ぶことにする。

ヴィーガニズムとは?

ヴィーガニズム=絶対菜食主義のことで、食事から動物性食品を排除する食事様式、または食事に限らず生活上からあらゆる動物製品を排除する生活様式を指す。後者の場合、毛皮やレザーはもちろん、生産の過程で動物実験を行う化粧品等も排除される。

食生活から肉類や魚介類のみを排除するのがベジタリアンに対し、ヴィーガンは更に卵や乳製品といった肉以外の動物性食品も排除するのが主な違い。日本食では鰹節や煮干しで取った出汁も動物性扱いになるので、例えば「ほうれん草のお浸し」に粉末カツオだしを使用した場合は菜食ではアウトになってしまう。

もともとは古代インドで動物の殺生を禁じる宗教的な理由から生まれた理念だが、現代では動物愛護の倫理的な目的や健康推進目的の意味合いで用いられることが多くなっている。

肉の消費量に見るアメリカと日本の違い

米国農務省(USDA)によると、2012年度の一人当たりの食肉消費量はアメリカの114kgに対して日本は47.2kgとされている。いくら日本人の食生活が欧米化してきたとはいえ、そもそもアメリカ人と日本人では肉の消費量が桁違いなのだ。

ウルフギャングステーキなどアメリカ資本のステーキハウスに行ったことの方のある人ならご存知だろうが、「2人前のTボーンステーキ」は部活帰りのサッカー少年でもなければ絶対に食べきれないような量で出てくるし(値段は部活帰りのサッカー少年が食べるランチの10倍くらいだ)、ダイナーやレストランで朝食プレートを注文すればテレビのリモコンのようなメガサイズのベーコンが出てくる。

肉に限らず健康を意識しないアメリカ人の食生活は極端なので、米俵のようなサイズのポテトチップスや1パイントのアイスクリームを授業中に一人で平らげているような子もザラにいる。もちろん全員ではないがそうなると肥満や糖尿病などの弊害が生じるのは当然で、医師や栄養士がヴィーガンなりグルテンフリーなり新たな食事法を提唱して国民の健康意識をうまく刺激するのだ。アメリカ人と日本人では食生活の質や体質が全く異なるので、欧米で流行中の健康法をむやみに取り入れても日本人の食生活には適用しづらかったり、効果を感じにくいことが多い。

菜食主義を学びたいなら比叡山にでも行って、延暦寺の宿坊で精進料理の哲学でも叩き込んでもらった方が話が早い。精進料理では単に動物性食品を排除するだけでなく「食事は命を頂くもの」という理念に基づいているので、食材の皮や茎なども無駄にせず全て調理し、食べ残しがないようにあらかじめ量も調節する。豆腐やテンペーの素晴らしさを説き伏せた薄っぺらいブログを夜な夜な読み込むよりも、一晩泊まり込みで仏道の体験修行にでも参加したほうがよっぽど正当な食の倫理感が身につくと思う。

ヴィーガン薀蓄大会は仲間内でやってくれ

食事が植物性食品に偏るとどうしても摂取できない栄養素がいくつか出てきて、そうなるとサプリメントから補助的に摂取せざるを得ない。ビタミンB12は植物性の食品からは摂取できないし、意識しなければタンパク質も欠如する。

#naturalliving とかいうハッシュタグ付けて自然志向気取ってるけど、ビタミンサプリの栄養素なんて結局添加物だから天然じゃないし。そのサラダボウル持ったインスタ写真に写り込んでるネイルは動物実験してないメーカーのマニュキュアなの?と突っ込みたくなる。

動物愛護の倫理的な理由でヴィーガンを選択している人ならまだしも、ヴィーガニズムの表面的な部分だけ切り取ってソーシャルメディアで薀蓄垂れ流しているようなゆるふわヴィーガン連中が5年後10年後もヴィーガンの食生活を続けているとは思えない。というかそんな上辺だけのヴィーガン野郎はだいたい実生活でも他人の食生活にイチャモンつけてくるのがお決まりで、馬鹿の一つ覚えみたいに「肉は身体に悪い」という常套句を押し付けてくるが、ジム帰りに一人で牛角に寄ってプロテイン代わりに赤身の肉を数皿サクッと平らげる時なんてドーパミンが爆発する。

肉食にガン罹患のリスクがあるのは確かだが、肉好きのフードライターなど一部の極端な人を除いて肉食に偏ることは少ないし、それを言うならヴィーガンの場合はタンパク質欠如による弊害だって大きいだろう。肉を食べようが食べなかろうが健康な食生活なんて結局バランスの問題だし、そもそも私の主治医でもないのに他人の食事に口出しするな。

アメリカが抱える超大量生産の課題

アメリカで調理師学校に通っていた時、食の倫理の授業で「Food inc(フード・インク)」という映画を観た。アメリカの食品産業に潜む闇を暴露したドキュメンタリーで、大量生産のために超劣悪な環境で飼育される家畜や、供給の安定のために大量散布される農薬などの生々しい実態が映し出されている

生産率を上げるためにホルモン剤を注入されたり、牧草もない小屋にすし詰め状態にされた養鶏の様子を観るのは結構ショッキングである。焼肉をたらふく食べて、映画「セブン」のように胃袋破裂して死ねるなら本望だと思っていたほど肉好きの私でさえ、菜食主義に転身しようとは思わないにせよアメリカで低価格の肉を買うのは控えようと思えるような内容だった。

何人かの感受性の強い生徒はその授業をきっかけにヴィーガニズムに傾倒し、自身の肥満問題はそっちのけで如何に肉が悪かをベラベラと吹聴していた。そもそもあの映画の真髄は肉食に対するアンチテーゼではなく、大量生産・低コストの生産物に対する問題提起なので見当違いも甚だしいし、繰り返すようだが何よりも先に肥満を解消すべき。

まあ色々書いたけど、ホリエモンも言及していたように「他人に押し付けなければなんでも良し」なのだ。過激派のヴィーガン団体に玄関口に血糊を塗りたくられようが何だろうが、動物の命と畜産農家の方々に感謝しながら歯が無くなるまで生涯美味しいお肉を頂くと私は心に決めている。

スポンサードリンク

スポンサードリンク

関連記事

  1. COLUMN

    飲食店によくあるクレームの例

    前回の記事では、迷惑行為化する昨今の飲食業界におけ…

  2. COLUMN

    日本でコンブチャが流行らない理由と偽物コンブチャ

    2週間ほど前に自宅でコンブチャ醸造を始めた私。(詳しくはコチラ…

  3. COLUMN

    アメリカの飲食店で差別はあるのか?自身の体験談も。

    前回の記事ではアメリカの口コミサイト『Yelp』が、不当差別禁止法への…

  4. COLUMN

    ”チップレス”レストランはアメリカで広まるか?

    アメリカのレストランからチップ制度が消滅する日は遠くないかもし…

  5. COLUMN

    「高脂質」がアメリカ健康食品のニュートレンド!

    2018年9月13日-9月15日、アメリカのメリーランド州・ボ…

  6. COLUMN

    楽天でビーツをまとめ買い!食べ方やレシピ紹介も

    アメリカは各州で異なる気候の地域性とその広大な土地…

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. COLUMN

    乳製品不使用!進化するアメリカのデイリーフリー業界
  2. COLUMN

    バイト中に客からセクハラにあったら?アメリカの女性ウエイターの行動を見習おう。
  3. COLUMN

    FeasTOKYO
  4. COLUMN

    抹茶カフェに抹茶エナジードリンク。ニューヨークの最新抹茶トレンドとは?
  5. COLUMN

    肉食の危険性を説法したがる「ゆるふわヴィーガン」達へ
PAGE TOP