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日本でコンブチャが流行らない理由と偽物コンブチャ

2週間ほど前に自宅でコンブチャ醸造を始めた私。(詳しくはコチラ

そもそも自家醸造を始めたきっかけは、アメリカのコンブチャが恋しくなったので日本で手に入る物を探していたらコンブチャもどきの偽物ばかり横行していて幻滅したから。ドリンクなりサプリなり、日本のネット上で流通してる『コンブチャ』を謳った商品の90%は偽物と思ったほうがいいです。有名なモデル使ってそれっぽい広告文句だけ並べてるけど、やってることはアメ横の裏あたりで偽物のブランドバッグとか売ってる外国人と変わらないような企業ばっかり。

コンブチャの基本材料は3種類のはずが…

コンブチャ醸造に必要な原材料はシンプルで、『菌株・紅茶・砂糖(糖分)』の3つのみ。フレーバーを加える場合は、リンゴ味だったらリンゴジュース、マンゴー味だったらマンゴージュースといった具合に果汁100%のジュースをコンブチャベースに加えてさらに二次発酵させていく。

これが私が育てているコンブチャの菌株・通称スコビー

自分でコンブチャ作ったことのある人なら分かると思うけど、コンブチャ醸造に関しては『極力余分なものは入れない』がマスト。使用する茶葉とか果物に付着した農薬が発酵に影響する可能性があるので、茶葉や果物ですら無農薬のものが推奨されているほど。

例えば、アメリカ最大のコンブチャメーカー『GT’s』の原材料はこんな感じ。

GT’s Kombucha* (Kombucha Culture*, Black Tea*, Green Tea*, and Kiwi Juice*), and 100% Pure Love!!!
(GT’sコンブチャ<コンブチャ菌株,紅茶,緑茶,キウイジュース>そして純度100%の愛情!!!)

GT’s:Enlightened Kombucha Original より引用

愛情うんたらの下りは置いておいて、原材料は紅茶と緑茶と菌株、そしてキウイジュースの4つのみとシンプル。コンブチャの菌株は糖分をエサにして発酵していくので、ここでは砂糖の代わりに糖分の高いキウイジュースを使用している。

一応企業側のプライバシーを尊重して原材料を引用するのは控えるけど、Amazonとか楽天で販売されている偽コンブチャの原材料を見てみると、少ないところでも12種類、多いところだと28種類もの原材料が確認できる。どこのメーカーも基本構成は同じでこんな感じ。

・植物発酵エキス
・整腸作用のある成分(オリゴ糖、食物繊維、乳酸菌など)
・風味付け成分(紅茶エキス、酸味料、香料、甘味料など)

要は、酵素ドリンクとかサプリによく配合されている植物発酵エキスをベースに整腸作用のある成分を加えて、添加物で紅茶の風味と酸味を実現して”それっぽい”商品に仕立てているだけ。

ちなみに某メーカーに電話して「原材料を見る限り、こちらのコンブチャは菌株から醸造してるわけではないんですよね?」と問い合わせたところ、「担当のものが不在で製造方法に関しては分かりかねます」とのこと(笑)まあこの手の健康食品会社なんてコールセンター外注してるんだろうけど、カスタマーサービスで製造方法を把握してないような会社なんて怪しすぎるでしょ。

しかも普段ソーシャルメディアで海外の健康トレンド情報を垂れ流してる某有名モデルが「アメリカで流行ってて…セレブが云々…」とか言って何食わぬ顔で宣伝してるからね。インフルエンサーとかいうけどファンのことなんか二の次で目先の金のためだけに動いてる悪影響な人たち掃いて捨てるほどいるよ。あれだけペニオク事件でステマが問題になったのにタレント側も消費者側も何も学習してないわー。

食品衛生法と高温多湿の風土が最大の原因

そもそもコンブチャ醸造は個人の超少量バッチで作るんだったら要領さえ掴めば簡単だけど、カビ繁殖のリスクがあるのでそれなりの管理が必要だし大量生産となったら相当大変。 アメリカのコンブチャメーカー『Health-Ade』の生産過程の動画がYoutubeにあったので貼っておきます。

動画でも確認できるけど紅茶の抽出も手作業だし、フレーバー付けのジュースもコールドプレスの機械で生の食材から抽出してるし、30万個ものガラス瓶を常時フル稼働させて発酵している。コンブチャを大量生産するとなるとこれだけの設備が必要なのだ。

アメリカでは市場規模が600億円にも到達するほどの大ブームなのに日本ではほとんど見かけないし、コールドプレスジュースとかチョップドサラダとかが六本木・広尾周辺で繁盛しているのを見ると、そろそろコンブチャが成城石井の飲料コーナーの一区画を占領し始めてもいい頃なのではと思っていたのだけど、調べていくと日本の場合は食品衛生法がコンブチャ・ブームの妨げになっているようなので保健所に電話で問い合わせてみた。

保健所担当者さんからの回答を以下にまとめました。

コンブチャを製造販売する場合『清涼飲料水』のカテゴリーで販売することになる。清涼飲料水とはコーラやポカリのことで、いわゆるジュースと同じ扱い。この清涼飲料水を製造するにあたって、流通前の殺菌が食品衛生法によって義務付けられている。つまりコンブチャの場合、発酵過程で生じた菌を専用フィルターで濾過するなり加熱するなりの処理を施して殺菌する必要がある。

なるほどー。
手間暇かけて発酵させてもその菌を殺菌するんだったらコンブチャのメリット無くなるよね。それじゃ酢と変わらないし。さらに日本の高温多湿の風土ではカビ繁殖のリスクも高まるし、それを管理するための人件費と設備費を投じても十分に回収できるだけの需要を作り出せるか?を考えると日本でのコンブチャ大量生産は向いていない。

ちなみに殺菌ルールは流通販売の場合のみで店舗販売には適用されないので、西麻布の『大泉工場』のように自家製コンブチャを店頭で販売する分には問題ない。国内でフレッシュな”本物”のコンブチャを試したい方は大泉工場さんへどうぞ。

殺菌ルールがある以上日本で本物のコンブチャが市場に流通するのは難しそうなので、毎日飲みたい人はAmazonで菌株買って自家製するのが便利だしコスパも良い。結構ハマります。品質管理も個人のレベルでやる分には面倒なこともないので、偽物買うくらいだったら自家醸造しましょう。

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